月桃(ゲットウ)-うりずんの頃に咲く花

月桃(ゲットウ)の可憐な花とつぼみ
月桃のつぼみと花

旧暦の2月から3月、春分から梅雨入り頃までの1年で最も過ごしやすい爽やかな季節を沖縄では「うりずん」と呼びます。
色々な草花がいっせいに咲き、彩り豊かなこの季節を代表する花が「月桃(ゲットウ)」。

咲き始めの頃は、小さな桃の実に似たつぼみが幾重にも折り重なって垂れ下がり、まるでかんざしのよう。
ぷっくりとふくらんだつぼみは白い陶器のような光沢のある艶やかな質感で、先端の淡い桃色と相まって見る者の心を魅了します。
花の咲き方も独特で、つぼみが割れると、その中からさらに同じ色合いの筒状のつぼみ(?)が出現。それが開くと可愛い黄色の花が顔をのぞかせます。

三日月のような形の房に桃のようなつぼみ。
「月桃」という名前は月と桃の組み合わせがなんともロマンチックで風情があります。
月の光に照らされて白く浮かび上がる花、、、。
思わずそんな風景が頭に浮かんできます。

月桃は沖縄が原産地ですが、台湾原産で花が上向きに咲く月桃があり、現在はこの2種類の交配によって生まれた亜種が沖縄県内に広く分布しているそうです。
名前の由来としては台湾の現地語で「ゲータオ」と呼ばれていたものに日本人が発音をまねて「月桃」と当て字を行ったという説が有力らしいです。
沖縄では「サンニン」とか「サニン」と呼ばれていて、こちらは月桃の実が漢方の生薬「砂仁(シャジン)」に似ていることからついた名前だそうです。
青空にのびる葉と可憐な花-月桃(ゲットウ)
垣根のように生い茂る月桃

可憐な花とは対照的に月桃の葉は縦長で約50~60㎝と大きく、しっかりとした硬い質感で、ショウガ科独特のスパイシーで清々しい香りがします。
薬草として殺菌・防腐・防虫効果があり、沖縄の伝統行事「ムーチー(餅)」を包む葉としても有名です。

宮古島ではさとうきび畑などの農道脇や牛舎のそばに垣根のように月桃が植えられているのをよく目にします。
赤土の流出防止や風除けの役割もありますが、防虫効果を目的とした実用的な農業の知恵です。

空に向かってずらっと生い茂る艶やかな緑の葉、その中から顔をのぞかせる無数の白い月桃の花。
うりずんの頃に見られる印象的な風景です。