久松アカバーの古い漁港
今はなくなってしまった古いサバニ
久松のアカバーにあるひなびた漁港。
宮古島に移り住んで間もない頃、さとうきび畑の中のでこぼこ道を海に向かって降りていった先にはじめてこの漁港を見つけた時には、まるでタイムスリップしたような感じがしたのを覚えています。
その頃は昔ながらの木造のサバニが2隻船着場に係留してあり、実際に漁師さんが乗って漁に出かける姿も見ることもできました。
時が過ぎて、2隻あったサバニは1隻になり、最後の1隻もやがて陸に揚げられてもう海に出るサバニの姿を見ることはできません。
この漁港から南に少し行った海岸にも陸揚げされた古いサバニが置かれていました。サバニと目の前に広がる海と空のコンビネーションが好きでよく通ったものです。
しばらくの間放置されていたのですが、周りの開発とともに撤去されてしまいました。
今ではもう見ることのできないサバニと海の懐かしい風景です。
ひなびた漁港の風景
アカバーの漁港は石を積んだ簡単な防波堤と海に突き出た比較的しっかりとした防波堤に囲まれていました。
崩れかけていた石積みの防波堤が改修された時には、ひなびた雰囲気の中にいきなり異物が入り込んだような違和感があったのですが、それも年月が経つうちに波風にさらされてすっかり風景の一部になってきました。
右側の防波堤も一部改修されて先端部分が広くなっています。
この漁港は他の漁港とはひとあじ違って、人工物なのになぜか周りの自然と溶け合った独特の雰囲気を醸し出しています。
モクマオウの木の間には漁港を見守るように小さな拝所が設けられています。
昼下がりの漁港には釣りをする地元の人が訪れるくらいで、しんと静まり返っています。
潮の満ち引きや通り過ぎる雲、太陽の位置などで色々な表情をみせてくれるひなびた漁港で、モクマオウの木を揺らす風の音を聴きながらぼんやりと過ごす時間は何より贅沢なひとときです。