サガリバナ-一夜限りの幻想的な宴-
闇の中に浮かぶサガリバナ
今年も一夜限りの幻想的で美しい花をたくさん咲かせてくれたサガリバナ。
宮古島では夏至の頃から7月上旬にかけて、サトウキビ畑の中のうっそうとした木々に囲まれた添道の遊歩道脇で、ひっそりと真夏の饗宴が繰り広げられます。もともと自生していたサガリバナの原木にNPO法人宮古島環境クラブが植樹した木を加えた見事なサガリバナの並木道。
あたりが暗くなると、房状についたたくさんの蕾が開いて花を咲かせます。
ちょうど満月の夜、月明かりの中で見るサガリバナはまた格別でした。
水面に雪のように降り積もるサガリバナ
夜が明ける頃、宴のあとの散り方がまた美しくて、毎年この光景を見にがんばって早起きして通っています。
夜明け前、ひっそりと静まり返ったサガリバナの遊歩道にひびくのはカエルの声と花のまわりを飛び交う虫の羽音だけ。
サガリバナ独特の濃厚な甘い香りがあたり一面にたちこめています。
やがて東の空が明るくなり小鳥がさえずりはじめると、ポト…ポトと花が落ちる音が聞こえはじめます。
そこからは、あちこちの木から次々と手のひらにすっぽり入るくらいの花火のような花がまるでボタン雪のように降ってきます。
日が昇ってセミの大合唱が始まる頃には降り積もった花があたりを埋め尽くします。
水面に浮かんだ花はまるで花火のようで、朝日のスポットライトを浴びて、はかなげで妖艶な美しさを漂わせています。
水面に映る青空とサガリバナ
昨日の雨でできた窪地の水たまりに花が次々と降り積もっていきます。
真上から見ると、まるで空一面に花を散らしたよう。
水面に映り込んだ空の青と木々の緑、無数のサガリバナの花が幻想的な風景をつくりだしていました。