牧山陣地壕-伊良部島の絶景洞窟
洞窟の先に広がる絶景
伊良部島にある「牧山陣地濠」。
牧山頂上にある牧山展望台のすぐ下にあり、真っ暗な洞穴をしばらく進んだ突き当りにぽっかりと穴が開いていて、対岸の宮古島と美しいブルーの海を見ることができます。
入り口は小さく、洞穴の存在を隠すかのように植物やガジュマルの根が覆いかぶさるように垂れ下がっています。
背をかがめながら入り口をくぐるとすぐに階段があり、少し広めの空間に出たあと、奥に向かって真っ暗な穴が続いています。
ここから先に進むには懐中電灯などの明かりが必要になります。
洞窟は背丈ぎりぎりの高さくらいしかなく、天井も地面も岩などがあちこちむきだしの状態になっています。
しばらく進むと洞窟の先がぼんやりと明るくなり、突き当りを曲がると目の前にぽっかりとあいた窓のような空間が…
そしてその先に広がる美しいブルーの海…
穴は出窓のようになっていて上によじ登って崖ぎりぎりまで出ることができます。
その絶景は、植物の飾りをつけた額縁の中に浮かび上がる一枚の美しい絵画のようです。
牧山陣地壕の日の出
早朝の牧山陣地壕では昼間とはまた一味違った光景を見ることができました。
日が昇り始めた頃、洞窟を進んで行くと真っ暗な洞窟の先がオレンジ色に染まっています。
ちょうどぽっかりと開いた窓の中に登って行く太陽と、海の中にできた光の道が見えました。
黄金色に輝く海と空が洞窟のシルエットと相まって、感動的な光景をつくりだしています。
入り口に広がるラピュタの世界
牧山陣地壕では、洞窟を出る最後にも私のお気に入りの風景があります。
洞窟に入るときは奥に向かって目が行くので気づかないのですが、入り口付近はガジュマルの木々や生い茂る植物、古い階段や入り組んだ石灰岩の岩石が独特の世界を作っています。
入り口にある案内板によると、この洞窟は自然にできたものではなく、第二次世界大戦中に平良港防衛のための榴弾砲(大砲)を備えた陣地として一から石灰岩を掘り込んだ壕だそうです。
戦争の最中、ここで任務にあたっていた人たちは洞窟の窓からどんな思いで美しい日の出や昼間の感動的なブルーの景色を眺めていたのか…そんなことがふと頭をよぎりました。