ヌドゥクビアブ-伊良部島の神秘的な洞窟

洞窟内に垂れ下がるガジュマルの気根-ヌドゥクビアブ
地下にぽっかりと広がる空間

アブとはこちらの方言で「洞窟」のことで、ヌドゥクビアブは伊良部島の南側に広がるサトウキビ畑の中にある神秘的な洞窟です。
初めてここに入ったのは伊良部大橋が開通した直後のこと。伊良部島の農道めぐりをしていた時にたまたま史跡の碑を見つけ、プチ探検気分で入ってみました。

うっそうと茂る亜熱帯の木々のあいだを縫うように続く獣道を少し行くと、岩の裂け目のようなところから洞窟へ降りる階段が現れました。
急な階段の先にはぽっかりとひらけた空間が見えます。
薄暗い地下に降りて周りを見渡すと、迫力満点のゴツゴツとした鍾乳石のような岩肌が覆いかぶさるように迫ってきます。
上を見上げると天井部分の岩の裂け目から陽射しが差し込み、ガジュマルやオオタニワタリなどの亜熱帯の植物や洞窟内に垂れ下がる蔓がきらきらと輝いていました。

頭上のガジュマルから垂れ下がる気根-ヌドゥクビアブ
滝のように降り注ぐガジュマルの気根

この洞窟で最も感動的なのは奥にある縦穴です。
地上のガジュマルから無数の気根が絡み合いながら縦穴の岩肌をつたってのび、まるで滝のように降り注いでいます。

この光景を初めて目にした時は感動のあまり思わず息をのんでしまいました。

自然が長い年月をかけて創り上げた壮大な作品。
その中に佇んでいると、とても神聖な気分になります。

サークル状に根を張ったガジュマル-ヌドゥクビアブ
結界のようなガジュマルの根

地上からのびた気根の何本かは洞窟内の地面にまで達し、しっかりと根をおろしています。
ガジュマルの気根はサークルのように円状にきれいに並んでいて、なんだか結界を作っているようにも見えます。

この洞窟はサトウキビ畑の中、これといった目印もない場所にあるので以前は「知るひとぞ知る」という感じだったのですが、最近では観光客も増えてきました。みんなにもこの感動的な風景を味わってほしい反面、この空間を独り占めにする贅沢が味わえなくなるのが少し寂しい気もします。