アジサシ-夏に宮古島へやってくる渡り鳥

青空に舞うアジサシ
海岸沿いの岩場で産卵や子育てをするアジサシ

毎年5月ごろになると宮古島には産卵・子育てのためにたくさんのアジサシがやってきます。

宮古島でよく見かけるのは真っ白で頭の後ろから両側の目元にかけて黒いラインが入ったエリグロアジサシ。
細めのサングラスをつけた顔に、スマートな体型、飛び方もシャープ。
夏の青空をバックに舞う姿はとても絵になり、お気に入りの鳥です。

宮古島の海岸線には琉球石灰岩の岩場がたくさんあります。
岩には雨風で侵食された天然のくぼみがあり、このくぼみが卵を抱いた親鳥がすっぽりと収まるのにぴったりのようです。

6月から7月頃、人気の岩場はここかしこに親鳥が陣取っていて、少々過密な状態。
ペアの片方はせっせと海に出掛けては、エサを運んできます。

この時期海上ではエサを探して飛び回るアジサシの群れをあちこちで見かけます。
ヒナにエサを運ぶ親鳥-夏の渡り鳥・アジサシ
アジサシのヒナ誕生

7月下旬、再び岩場を訪れてみると、、、、可愛いヒナが誕生していました!

岩の色合いとよく似ているのでわかりにくいのですが、あちこちのくぼみにもふもふの小さなベイビーの姿が。
でこぼこの地面に小さな足をふんばりながらよちよち動き回っています。
親鳥の羽やお腹の下に隠れたりしながらも、外の世界には興味津々のようです。

親鳥もそんなヒナを優しく見守っています。
そして親鳥はヒナの分までエサ取りに大忙しの様子。
一家団欒もそこそこに、すぐに海へと出掛けていきます。
波打ち際のアジサシ
海辺に集まるアジサシの群れ

8月1日、宮古島は台風6号の暴風域に入りました。
6号は進行速度が遅い上、宮古島の北でUターンしたため暴風は53時間以上吹き荒れ、海ではうねりを伴った大しけが1週間近く続きました。

ヒナの誕生を見届けたばかりだったので、気が気ではなく天気が回復してすぐに岩場の様子を見に行きました。

あんなにたくさんのペアが陣取っていた岩場に、アジサシの姿はなく、しんと静まり返っています。

どこか別の場所に移動したにしても、卵やまだ飛べない小さなヒナは、、、

別の岩場ものぞいてみたのですが、やはり同じ状況でした。
可愛いヒナを目にしていただけに、残念な気持ちでいっぱいです。

そんな中、小さな浜で海上を飛ぶアジサシの群れを見つけました。
波打ち際にもたくさんのアジサシが整列しています。

台風を無事切り抜けた群れか、早めに子育てを終えていた群れかわかりませんが、とにかく元気なアジサシたちを見ることができて少しほっとしました。

まだちらほらとアジサシの群れを目にしますが、9月にはアジサシたちは宮古島から旅立っていきます。

来年は宮古島で生まれたヒナたちがみんな無事に巣立っていきますように。