上比屋山(ウイピャーヤマ)遺跡

マイウイピヤームトゥ
亜熱帯の植物に囲まれた遺跡

上比屋山(ウイピャーヤマ)遺跡は砂川集落南の丘陵にある14~15世紀の遺跡で、土器や陶器などが見つかっているそうです。
ずいぶん昔に、道沿いにあった石碑に興味をひかれ、上に続く道らしい跡をたどって登ってみたことがあります。
ただ当時は詳しい地図や資料もなく、うっそうとした原生林の中、人づてにそのへんに御嶽があると聞いていたこともあってむやみに立ち入ってはいけないのではと不安になり、途中で引き返してしまいそれっきりになっていました。
3年ほど前に宮古島市が「綾道(あやんつ)」という歴史文化ロードを紹介する冊子やアプリを公開し、この遺跡のことや行き方も紹介されていたので、改めて訪問してみました。

昔引き返した地点から少し登ると、亜熱帯の植物の中に埋もれるように古い琉球石灰岩の石積みと丸太を丸く張り巡らした屋根が現れました。

側面は琉球石灰岩の石積みで高さは1m程度、内部にはイビと呼ばれる香炉を置く石組みがあります。
昔見た写真では屋根に茅が葺かれていたのですが、台風で飛ばされたのかほとんど枠組みだけになっていました。
少し先に進むとすぐにうっそうとした緑の中に次の家屋が現れ、さらに進むと少し開けた広場のような場所に出ました。
やはり先ほどと同じような家屋があり、どうやらここで様々な祭祀が行われているようです。

亜熱帯の植物が生い茂る深い緑の中に溶け込むようにたたずむ古い家屋跡。
聞こえるのは鳥の鳴き声と風にざわめく木々や葉っぱの音だけ。

まるで時の止まった別世界にいるような神秘的な雰囲気が漂っていました。

道沿いに少し距離をおいて建つ3棟の家屋(マイウイピヤー・クスウイピャー・ウイウス)は、祈りを捧げる神聖な場所「御嶽」として2月籠り・ナーパイ・8月籠り(節祭り)などの祭事でムトゥ(元※もと、本家)と呼ばれる血縁集団に属する人々が数日間籠り、船漕ぎ儀礼、ニーリピャーシ(神歌)を歌う儀礼があるそうです。(参照:宮古島市役所HPより)