大神島Vol3-集落と島の風景
大神島の中腹にある小さな集落
大神漁港から北へ向かう坂道を上ると大神島の中腹に小さな集落があります。
時間が止まったようにしんと静まり返った集落。
民家の数は10軒ほどでしょうか。
港では軽自動車も見かけましたが、集落内を走っているのは今まで一度も見かけた事がありません。
それでも、手入れされた花々や門に置かれた魔除けの塩(マース)、シーサーにくくりつけられた水字貝、塀の上にさりげなく置かれたタカセ貝などに生活感を感じます。
ひと気のない道では猫がのんびりと歩いていました。
以前に比べると空き家や更地になった場所が増えたような気がします。
更地にポツンと取り残された門の上にいたシーサー。
守るべき住民がいなくなった今も健気に睨みをきかせています。
海の見える坂道
このため海岸沿いの一周道路以外は集落へ続くメインストリートを含めすべて坂道。少々ハードですが、そのかわり坂道からはきれいな海が見えます。遠見台から多目的広場へ続く道からは半円状にきれいに並ぶ奇岩カミカキスも見えます。
多目的広場には屋根付きの東家やトイレもあり、一休みするのに最適。
大神島に初めて来た15年ほど前には漁港の横にまだ小中学校の建物があり(すでに廃校にはなっていましたが)、漁港近くの家の前ではゆんたくをする島人の姿もありました。
2023年現在で島民は22名。高齢化も進んでいます。
御嶽・拝所とガジュマル
まわりの自然に溶け込むように存在していてわかりにくいのですが、そういった場所の中には神様に許された人だけが入る事ができ、島の人も立ち入れない場所もあります。遠見台のウッドデッキのすぐ下にある「トゥンバラ」と呼ばれる琉球石灰岩の巨岩は神様が降りてくる岩として祭祀が行われています。山の上という特異な場所にある巨岩もさることながら、複雑に絡みつくガジュマルの根が神秘的な雰囲気を漂わせています。多目的広場から漁港方面へ歩くと漁港の手前に海の神様がやってくるという御嶽(うたき)があります。
漁港には整備する際に砕いた巨岩に宿っていた神の怒りを鎮めるために作られたという拝所(ウガンジュ)があります。
集落近くの道には大きくえぐれた琉球石灰岩の上からガジュマルの根が何本も地面までのび、なんとも言えず神々しい雰囲気を醸し出していました。
大神島に限らず、宮古島の島人からは「御嶽には入ってはいけない」と言われてます(一部観光客を受け入れている御嶽もありますが)。御嶽は内地の神社と違って一般の人が参拝できる境内がなく、自然の中にいきなり神様が宿る場所や物があるといった感じでしょうか。ちなみに写真は離れたところから望遠を使って撮るようにしています。
大神島には祖神祭(ウヤガン)という神秘的な村落祭祀行事があり、その時期一般の人は遠見台周辺に立ち入る事ができません。
古来からの伝統と自然が残る大神島ですが、島の人たちが大切に守ってきたものを汚さないようにしながら島の魅力を楽しませてもらおうと思っています。